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    看護師派遣で働くときの注意点 – 副業ナースが失敗しないための【完全ガイド】

    突然ですが、「派遣の看護師として副業すれば、今よりお給料が増えるかも!」と考えたことはありませんか?疲れる本業の合間にもう一つ仕事をするのは不安もありますが、収入アップの魅力も捨てがたいですよね。実際、育児やローン返済のために派遣の単発バイトで月数万円を稼ぐ看護師さんもいます。しかし一方で、「派遣看護師って気楽そうだけど落とし穴はないの?」と躊躇する声も多く聞かれます。

    この記事では、副業で派遣看護師を始める前に知っておきたい注意点デメリットを詳しく解説します。法律上のルールから現場でのリアルな体験談、そしてメリットや安全に働くコツまで網羅していますので、きっとあなたの不安や疑問が解消されるはずです。最後まで読めば、「やっぱりやめておこう…」となるか「準備して挑戦してみよう!」となるか、自分に合った判断ができるでしょう。それでは本題に入ります。

    目次

    派遣看護師という働き方はここに注意!

    副業であれ本業であれ、派遣という働き方特有の注意点があります。まず押さえておきたいのは、看護師の派遣には法律上の制限がある点です。

    法律で病院等への派遣は原則禁止

    実は、看護師を含む医療従事者を派遣労働者として病院や診療所で働かせることは労働者派遣法で禁止されています。以前は禁止されていた看護師派遣は2000年代に法改正で一部解禁されましたが、今でも病院での看護業務は派遣NGが原則です。ただし例外条件もあり、以下の場合は派遣が可能とされています。

    1. 紹介予定派遣
      • 派遣期間終了後にその病院に直接雇用されることを前提にした働き方。いわばお試し期間付きの派遣で、このケースでは病院で働けます。
    2. 産休・育休代替など一時的な欠員補充
      • 産休や育児休業、介護休業による欠員を埋める目的の派遣は認められます。
    3. へき地や離島の医療機関
      • 医療提供体制の確保が難しい地域の病院では、特例的に派遣が許可される場合があります。
    4. 病院・診療所等以外の施設(社会福祉施設等)で行われる業務
      • 医療業務を主としない施設で行われる看護師の業務については、以前から派遣が認められています。
    5. 社会福祉施設等への看護師の日雇い派遣
      • 2021年4月1日の労働者派遣法の改正により、社会福祉施設等への看護師の日雇い派遣が、例外的に解禁されました。

    以上のように、通常の派遣社員のように病院勤務することはできないので注意しましょう。派遣看護師の求人は主にデイサービス、特養、有料老人ホームなどの介護施設や、イベントナース(イベント会場の救護スタッフ)などが中心です。「やっぱり病院で働きたい」という場合、はじめから派遣という選択肢はミスマッチかもしれません。

    同じ職場で「3年以上」働けない

    派遣看護師として働く場合、一つの派遣先(施設)で長期に渡って勤務し続けることはできません。労働者派遣法で「同じ派遣先で働けるのは最長3年」と定められているためです(労働者派遣法 第40条の2、第40条の3)。職場の雰囲気が良く「ずっとここで働きたいな」と思っても、契約期間が来れば必ず異動または契約終了となります。もし「いずれはその職場で腰を落ち着けたい」と感じるなら、最初から紹介予定派遣で正社員登用を目指すのがおすすめです。3年ルールにより派遣ではキャリアアップが難しいことを覚えておきましょう。

    収入・待遇面のデメリット

    派遣看護師は一見時給が高めに設定されていることが多いです。しかし、昇給がない点に注意が必要です。常勤のように勤続年数に応じた昇給はなく、契約時に決まった時給・日給がずっと据え置きというケースが一般的です。さらに賞与(ボーナス)も基本的に支給されません。そのため年収ベースで見ると、「時給は高いがトータルでは常勤より稼げない」ということも起こります。実際、経験豊富なベテラン看護師ほど「同じ経験年数でも正社員と待遇に差がある」と感じるでしょう。

    また福利厚生面でも、雇用主は派遣会社となるため派遣先の職員と同じ手当や休暇制度を享受できない場合があります。例えば住宅手当や院内研修への参加権など、派遣スタッフには適用されないことがあります。 加えて社会保険加入の問題もあります。派遣会社との契約条件によっては、勤務時間数が所定に満たなかったり契約期間が短かったりすると社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できない場合があります。社会保険に入れないと、国民健康保険・国民年金に自分で加入することになり、保険料負担が増える可能性があります。将来の年金額にも響くため、派遣で働く際は事前に派遣会社に社会保険の扱いを確認しておきましょう。

    副業として掛け持ちする場合の注意(就業規則・税金など)

    現在フルタイムで働いている看護師さんが、副業で派遣バイトをする場合は職場の就業規則をまず確認しましょう。民間病院でも副業禁止の職場は珍しくありません。規則でNGとされているのに内緒で副業すると、思わぬところから発覚して処分されることがあります

    実例として、ある看護師Aさんは副業禁止の病院に勤めながら週末にアルバイトをしていましたが、住民税の額の変化で掛け持ちが発覚し、雇い止めになったケースもあります。副収入があると住民税が増え、その通知で職場に副業がばれてしまったのです。「住民税を普通徴収にする」という裏技で隠す方法も耳にしますが、規則で禁止されている以上リスクが大きい行為です。

    副業禁止の職場にお勤めの場合は、無理に掛け持ちをせず高収入の職場へ転職するか副業可の職場に移ることも検討しましょう。 また、副業OKの場合でも体調管理は非常に重要です。夜勤明けにさらに別の派遣バイトに入れるような無理な働き方は、ミスや事故のもとになります。税金面では、副業分の所得について毎年確定申告が必要です。忘れると脱税になりかねませんので注意してください。

    研修・教育サポート体制の不足

    常勤の看護師であれば入職時にオリエンテーションや研修があるのが普通ですが、派遣では「即戦力」が前提のためまともな研修がない場合がほとんどです。派遣先によっては「一応マニュアル説明だけして現場へ」程度の簡単な引継ぎで、マンツーマン指導は期待できません。ですから、特に初めての領域で派遣勤務する際は自分で勉強して備えておくくらいの心構えが必要です。教育担当がつかない分、不明点は自分から積極的に周囲に質問して解決する姿勢も求められます。「派遣だから楽できる」という考えで臨むと痛い目を見るかもしれません。逆に「新しい現場で色々な経験ができるチャンス」と前向きに捉え、自己学習のきっかけにするくらいが良いでしょう。

    派遣先での責任とトラブル対応

    派遣看護師は派遣先の正式なスタッフではないため、職場内で何かトラブルや事故が起きた際にその責任の所在が曖昧になるケースがあります。例えばインシデント・アクシデント(医療事故)が発生した場合、正職員であれば院内のフォロー体制や責任分担が明確ですが、派遣だと「派遣社員のミスだから」と現場も派遣会社もお互い責任を押し付け合い、最終的に自分一人で責任を追うリスクもゼロではありません。万一に備え、損害賠償保険(看護師賠償責任保険)に自分で加入しておくことを強くおすすめします。日本看護協会なども手頃な保険プランを提供していますので、派遣を始めるなら検討して損はありません。実際、派遣看護師として働くなら「細心の注意を払いながら業務に取り組み、事故防止に努める必要がある」と指摘されています。

    もし、人間関係のトラブルや残業代未払いなど派遣先とのトラブルに遭遇した場合は、すぐ派遣会社の担当者に相談しましょう。優良な派遣会社であれば、間に入って派遣先と調整し問題解決に動いてくれるはずです。「派遣会社選び」は実はとても重要で、困ったときにしっかりサポートしてくれる会社を選ぶことでリスクを減らせます。

    派遣看護師として働くメリットもチェック!

    ここまで注意点ばかり述べてきましたが、派遣という働き方にはメリットも確かに存在します。「デメリットばかり聞くと萎える…」という方も、前向きなポイントも押さえておきましょう。

    自分の希望するライフスタイルで働ける

    派遣看護師は勤務する日数や時間帯、期間を自分の都合に合わせて選びやすいのが利点です。週1~2日だけ働く、1ヶ月間の短期契約で集中的に働く、子育てと両立するため午前中のみ・日勤のみ働く等、ライフイベントに合わせ柔軟な働き方が可能です。常勤では難しい単発バイトもできるので、「長期旅行の資金を貯めるために連休に短期派遣を入れる」なんてこともできます。

    基本的に残業なし!定時でさっと帰れる

    派遣の契約には勤務時間が明確に定められており、サービス残業をさせることは禁止されています。仮に「ちょっと残っていって」と言われても、「契約上できません」と断りやすいのが派遣の強みです(派遣先が残業代を出さず、残業をさせるのは違法行為なので、派遣会社に報告すれば是正されます)。また、常勤だと業務時間外に委員会活動や研修参加を求められることがありますが、派遣社員には基本そうした附帯業務は課されません。終業後はスパッと帰宅できるので、プライベートの時間をしっかり確保できます。

    職場の人間関係のストレスが少ない

    派遣は一定期間で契約終了となるため、職場の面倒な人間関係に深く巻き込まれにくい傾向があります。「どうせ期間限定」と周囲も思って接するためか、派閥争いに巻き込まれたり重い責任を負わされたりしにくいという声もあります。万一「この職場は合わないな」と感じても、契約更新をしなければ良いだけです。人間関係が原因で退職を考えている人には、試してみる価値がある働き方かもしれません。

    さまざまな経験が積める&高収入チャンスも

    派遣で働く魅力の一つに「複数の現場を経験できる」ことがあります。介護施設、健診センター、イベント救護、企業の産業保健師的な仕事など、常勤では味わえない多彩な業務を体験できます。その結果、自分の適性や新たな興味に気付けるかもしれません。また、副業として派遣を利用する場合は、短期間で稼げる高時給案件に絞って働くという方法も取れます。例えば夜勤専従のアルバイトは時給2,000円を超える職場も珍しくなく、深夜・早朝手当がつけばさらに時給アップするケースもあります。効率的に収入を上げたい人にはありがたいですね。

    このように、派遣看護師には自分の状況によっては見逃せないメリットもあります。大事なのは、メリットとデメリットの両面を知った上で「自分にとって何が優先か」を考えることです。

    副業で派遣を始める前のチェックリスト

    副業として派遣看護師に挑戦する前に確認しておきたいポイントをチェックリスト形式でまとめます。思い立ったらすぐ登録!も良いですが、失敗やトラブルを避けるために以下の項目は事前にクリアしておきましょう。

    • 現職場の就業規則を確認
      • 副業が禁止されていないか、掛け持ちの条件はあるかを就業規則や雇用契約書で確認します。公立病院など公務員看護師は副業NGなのはもちろん、民間でも禁止の場合があります。禁止なら副業自体控えるか、まずは職場に相談しましょう(相談なく強行すると発覚時に懲戒の恐れがあります)。
    • 体力・スケジュールを無理なく確保
      • 本業のシフトや生活リズムを踏まえて、副業に充てられる時間と自分の体力を見極めます。夜勤明け連続勤務などは避け、余裕をもったスケジュールを組みましょう。「月○万円稼ぎたいから週◯回入れる」ではなく、「無理なく週◯回ならできそうだから結果○万円になる」くらいの感覚で。睡眠不足で本業に支障が出ては本末転倒です。
    • 税金・社会保険の手続きを理解
      • 副業で得た収入には所得税・住民税がかかります。アルバイト先で源泉徴収されない場合は自分で確定申告が必要です。住民税については副収入分を「普通徴収(自分で納付)」にする申告も可能ですが、基本は正しく申告して堂々と副業しましょう。社会保険は、本業が社会保険ありなら副業分は加入不要ですが、本業が扶養内勤務などで副業する場合は収入に応じて自分で国民年金等に加入する必要があります。年収130万円の壁(扶養から外れる基準、健康保険法施行規則第38条)なども頭に入れておきましょう。
    • 派遣会社は信頼できるところを選ぶ
      • 派遣ナースの求人サイトやエージェントは複数ありますが、サポートが手厚く評判の良い派遣会社に登録しましょう。例えばコーディネーターが親身に対応してくれるか、求人件数が豊富か、福利厚生(社会保険や有給付与)が整っているか等を比較ポイントに。困ったときに助けてくれる会社かどうかはとても大切です。口コミや実際に問い合わせた印象も参考にすると良いでしょう
    • 万一に備え保険に加入
      • 前述の通り、派遣で働くなら損害賠償保険(看護師賠償責任保険)への加入を検討しましょう。年間数千円程度で万が一の訴訟リスクに備えられます。また、自分自身のけがや病気に備える医療保険や収入補償保険も、この機会に見直しておくと安心です。

    看護師派遣に関するよくある質問

    最後に、副業で派遣看護師として働くにあたってよくある疑問をQ&A形式でまとめました。

    Q1. 看護師の派遣って副業でやっても違法ではないの?
    A. 適法な範囲で行えば違法ではありません。かつて看護師の派遣は全面禁止でしたが、2003~2006年の法改正で条件付きで解禁されています。介護施設や企業、イベント現場への派遣など医療機関以外であれば基本的に問題なく、副業として勤務可能です(ただし前述のようにご自身の職場規定で副業NGの場合は除きます)。病院での派遣勤務も紹介予定派遣など例外条件を満たせば可能です。要は「法律上OKな範囲で、なおかつ勤務先に副業を届け出ていれば問題ない」ということです。

    Q2. 常勤(正社員)と派遣、結局どちらが稼げるの?
    A. 一概には言えませんが、安定して稼ぎたいなら常勤、本業+αを短期で稼ぎたいなら派遣というイメージです。常勤は基本給に加え賞与や各種手当が支給され、年々昇給も望めます。一方、派遣は時給自体は高めでもボーナスが無く昇給もありません。例えば年間トータルでは常勤の方が収入が上回るケースもあります。ただ、派遣は好きなときに働いてスポットで収入を増やすことができますし、夜勤バイトなどでは1回の勤務で高収入を得ることも可能です。副業として割り切って必要な分だけ稼ぐなら派遣は効率的ですが、長期的な安定収入という点では常勤には及ばないでしょう。

    Q3. 派遣看護師として働く上で失敗しないコツはある?
    A. 「情報収集」と「自己管理」が最大のコツです。具体的には、事前に派遣先の業務内容や雰囲気をリサーチしミスマッチを防ぐこと(可能なら勤務前に職場見学させてもらうと安心です)。次に、自分のスキルや経験の範囲をきちんと把握し、無理のない業務を選ぶこと。経験が浅いうちは、一人きりで任される現場は避け、教育担当がいる職場や訪問看護なら二人訪問制の事業所を選ぶなど工夫しましょう。そして体調管理を含めスケジュールを詰め込みすぎないことも大切です。加えて、派遣会社のコーディネーターと密に連絡を取り、困ったときは早めに相談するようにしましょう。これらを心がければ、派遣ナース生活もきっと軌道に乗るはずです。


    副業目的の派遣看護師について、注意点からメリットまで駆け足でご紹介しました。「派遣は不安…」という気持ちが少し解消され、現実的な判断材料が増えたのではないでしょうか? 繰り返しになりますが、派遣には向き不向きがあります。安定志向でじっくりキャリアを積みたいなら常勤が向いていますし、ライフスタイル優先で柔軟に働きたい・短期で収入アップしたいなら派遣も有力な選択肢です。

    いずれにせよ、大事なのは事前準備と情報収集です。本業に支障なく安全に働くために、法律や制度、職場環境について十分理解した上でスタートしましょう。信頼できる派遣会社に登録すれば、相談に乗ってもらいながら自分に合った働き方を見つけることもできます。あなたの看護師人生がより充実したものになるよう、心から応援しています。副業ライフを安全に、そして楽しんでくださいね。

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