看護師の仕事は、やりがいがある反面、肉体的にも精神的にも非常にハードな職業です。特に、看護師3年目は、一人前の看護師として認められる一方で、責任が増え、より高度な判断力が求められる時期でもあります。このタイミングで、「看護師を辞めたい」と感じる人も多いと思います。
この記事では、看護師が辞めたいと思う理由を詳しく解説するとともに、3年目という分岐点を乗り越えるためのヒントをお伝えできればと思っています。看護師を辞めたいと悩んでいる方、看護師3年目を迎えて不安を感じている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
看護師を辞めたいと思う理由TOP5
看護師の仕事は、人の命に直接関わる重要な役割を担っています。そして、その責任の重さに多くの看護師が「辞めたい」と感じる瞬間があるのも事実です。ここでは、私が現場で多く聞く看護師が辞めたいと思う理由のTOP5を紹介します。
過酷な勤務体制
看護師の仕事は、夜勤や不規則な勤務が付き物です。長時間労働や休日出勤などにより、心身ともに疲弊してしまう看護師は少なくありません。特に、夜勤の負担が大きく、生活リズムが乱れることで、体調不良を招くこともあります。
人間関係の問題
看護師は、患者さんだけでなく、医師や同僚、そして患者さんの家族とも密接に関わります。そのため、人間関係のトラブルが生じることもあります。特に、先生や先輩との関係が悪化すると、仕事へのモチベーションが低下し、辞めたいと感じるようになります。
医療事故のプレッシャー
看護師は、患者さんの命を預かる重大な責任を負っています。そのため、医療事故を起こしてしまうことへの恐れから、常に緊張感を強いられます。このプレッシャーに耐えられず、心身ともに疲弊してしまう看護師もいます。
キャリアアップの限界
看護師として働く中で、自分のスキルアップや専門性を高めたいと考える人もいます。現在の職場で、そういった機会が限られていると感じると、他の病院やクリニックへの転職を考えるようになります。
ワークライフバランスの崩れ
不規則な勤務体制ゆえに、プライベートな時間を十分に確保することが難しいのも事実です。家族との時間が取れない、趣味に打ち込めないなど、ワークライフバランスが崩れることで、仕事への意欲が低下してしまうこともあります。また、結婚・出産などのライフイベントによる生活環境の変化により、これまでの働き方では働けない状況になることも多くあります。
看護師を辞めたいと感じるタイミングとは
看護師が辞めたいと感じるタイミングは、人それぞれ異なります。ある人は、入職後すぐに「この仕事は自分に合わない」と感じるかもしれません。また、ベテランの看護師であっても、ある出来事をきっかけに、「もう限界だ」と感じることがあります。
長年にわたって夜勤を続けてきた看護師が体力的な限界を感じた時や、先生や先輩から何度も怒られたり、指導された時。こういった日常でのストレスの積み重ねで、「看護師を辞めたい」という思いが強くなっていくのです。
特に、看護師を辞めたいと思い始めるのは、働き始めて3年目の看護師が多いと感じます。実際には、3年目は辞めたいから辞める、という具体的な行動をとるようになります。
2年目までは看護師としてまだ半人前ですが、2年目から3年目になるにつれて、本物のナースに成長します。ここまでしっかり成長すると「もっと自分にあった職場に転職したい」「このまま働き続けたい」と感じるようになります。
一方で、2年目から3年目まででうまく成長できなかった人も、周囲とのギャップに悩み、辞めたいと感じるようになるでしょう。仕事がうまくできないなど周りと比べて劣等感を感じたり、自分の将来に不安を抱くようになるケースです。後ろ向きな感情は誰しも少なからず抱くことですが、まじめすぎる人は一人で抱え込んで仕事を辞めるしかないと思い込んでしまうので注意が必要です。
また、女性社会と言われる看護の職場は、陰湿ないじめも少なくありません。自分だけ重要事項が伝えられていなかったり、自分だけ先輩ナースからの叱責が多いなど、理不尽なこともあります。こうなると、その人の力だけではどうしようもなくなることも多いので、同期や地元の友人などに相談しましょう。
辞める前に考えておきたい3つの将来のこと
看護師を辞めたいと考えているなら、辞める前に将来のことを考えておく必要があります。ここでは、3つのポイントを紹介します。
今後のキャリアプラン
看護師を辞めた後、どのような仕事に就きたいのか。自分の強みや興味・関心を踏まえて、キャリアプランを立てておきましょう。看護師としてのスキルを活かせる仕事もありますし、全く別の分野に挑戦するのも一つの選択肢です。
収入面
看護師を辞めることで、収入が減ることへの不安があるかもしれません。しかし、新たな仕事でステップアップできる可能性もあります。貯蓄の状況や家計の見直しなども含めて、あらかじめ冷静に考えてみましょう。
人間関係
看護師を辞めると、これまでの職場の人間関係から離れることになります。新しい環境では、一から人間関係を構築していく必要があるので、人間関係を作るのが苦手な人はよく考えておきましょう。現職への不満や現在の生活環境と新たな環境で人間関係を一から構築するストレスを天秤にかけてみてはどうでしょうか。
辞めた後の看護師の働き方とは
辞めた後も、看護師としてのスキルを活かす道はたくさんあります。ここでは、辞めた後の看護師の働き方として、「常勤職員」「非常勤職員」「異業種」の3つの選択肢を紹介します。
常勤職員として働く
看護師を辞めた後も、常勤職員として働くことができます。例えば、訪問看護ステーションや健康診断センター、企業の健康管理室などです。これらの職場では、病院とは異なる環境で、看護師としてのスキルを発揮することができるでしょう。
訪問看護では、患者さんの自宅を訪問し、在宅医療を支えます。健康診断センターでは、健康チェックや保健指導を行います。いずれも、病院とは違った視点で、看護師としての専門性を活かすことができる仕事です。
非常勤職員として働く
非常勤職員として働くという選択肢もあります。具体的には、クリニックでのパート勤務や、イベント会場での救護スタッフなどです。非常勤職員として働くメリットは、自分のライフスタイルに合わせて、働く日数や時間を調整できることです。
子育て中の看護師であれば、子供の学校行事に合わせて働く日を調整することもできます。また、趣味や自己研鑽の時間を確保しながら、看護師としてのスキルを維持することもできます。非常勤職員として働くことで、ワークライフバランスを保ちつつ、看護師としてのキャリアを続けることができるでしょう。
異業種で働く
全く異なる業種で働くという選択肢もあります。例えば、医療機器メーカーの営業職や、製薬会社のMR(医薬情報担当者)、保険会社の医療アドバイザーなどです。これらの仕事は、医療や看護の知識を活かしつつ、全く新しいスキルを身につけることができます。
異業種で働くことで、視野を広げ、新しいチャレンジをすることができます。看護師としてのバックグラウンドを持つ人材は、医療関連企業でも高く評価されます。キャリアチェンジを考えている看護師にとって、異業種への転職は魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。
まとめ
看護師を辞めたいと思う理由は人それぞれですが、過酷な勤務体制や人間関係の問題、医療事故のプレッシャーなどが主な要因として挙げられます。辞める前に、将来のキャリアプランや収入面での不安、新しい環境での人間関係の構築などを考えておくことも大切です。
辞めるといっても、もし今の職場から逃げたいという気持ちだけで転職するならば、おそらく次の職場も同じような状況になると思います。手は尽くしてみたけれども、自分の力だけではどうにもならないと思ったら、その時は潔く転職しましょう。この時にどのような対処法をとるかで、今後の看護人生が変わってくるのでよく考えて慎重に行動しましょう。