中心静脈栄養という栄養摂取方法を知っていますか?
口からの食事摂取が難しい状態、嚥下に障害がある場合、消化器官や意識状態に問題を抱えている場合、経口摂取困難で、末梢からの点滴ルートをとれない場合や、末梢からの点滴では栄養状態が賄えず、より高カロリーの点滴をしたい場合など、通常の栄養補給方法をとれない状態の場合に用いられる栄養摂取方法です。
頸部、鎖骨、鼠茎などから専用ルートを挿入し、直接点滴にて栄養を注入します。
中心静脈栄養中の看護
・中心静脈栄養中は、ルートトラブルや、挿入部の感染に注意
高カロリーの栄養を皮膚から挿入したルートから流すわけですから、そこがばい菌の温床となり、その刺入部の炎症や感染してしまう事があります。
よって、定期的な消毒と、その部分の清潔保持、固定テープの交換が必要です。
・ルートの抜けに注意
患者さんは、中心静脈栄養を行いながら日常生活を送ります。
時に、引っかけたり、つまずいたりしてしまい、抜けてしまう事があります。
正しい位置に挿入されていないと、高カロリーの点滴が刺激となり、静脈炎や期待しない悪影響を与えてしまいます。
挿入時、何センチ固定と決めて固定しますので、抜けがないか観察して管理する必要があります。
・多くの量を一日で管理する事が多く、滴下に注意
一日に必要なカロリーと水分量を更新しながら点滴する事の多い中心静脈栄養は、滴下数や残量に注意し、正しく適正量をコンスタントに落とす必要があります。
多すぎると心負荷がかかり、心臓に悪影響があります。
少なすぎると、必要量が手聞かされず、低栄養となったり、カロリーのある液体ですから腐敗の原因ともなります。
患者さんのこともしっかりケア
・患者さんの精神面に注意
患者さんは、有意識、無意識どちらの患者さんにも適応となります。
有意識の患者さんは、口から食べたい事を我慢して治療を受けています。
苛立ちを感じたり、落ち込んだり、食べられないストレスを抱えています。
精神面をフォローしながら、辛い気持に寄り添う関わりが必要です。
・在宅での療養指導に注意
中心静脈栄養を利用して、在宅で生活する事も可能です。
その場合、自己管理するのか、家族管理するのかという情報が重要です。
高カロリー液の取り扱いや、刺入部の管理・観察など異常の判断等のセルフケアが必要となります。
正しく管理できるよう支援・指導が必要です。
まとめ
中心静脈栄養は、口腔機能、消化機能に問題があっても必要な栄養を補給し日常生活を送れる治療法です。
しかし、食べる満足感や、喜びを感じられず、空腹感は満たされません。
よって、患者さんのストレスは重大です。
聞いた事がある言葉では、「食べられないくらいなら死んだ方がまし」と言う患者さんもいます。看護師として、メンタルケアを行いながら、感染、管理を十分に行える技術が必要です。