看護の現場では、多くの教育に関する矛盾があります。
○○先輩は、こう教えてくれたのに、○○先輩にはその通りしたら怒られたと言う事が多々あります。
そのような矛盾から新人看護師は、仕事を辞めたいと感じることがあります。
言い返すことのできない新人看護師は思い悩んで、自分を責めて鬱状態に陥る事もあります。
しかし、悩んでいるのは新人看護師だけではありません。
プリセプティである教育看護師も教育に関して思い悩んでいます。
どう教えたら正しい内容を伝えられ、分かりやすく説明できるのか、今プリセプティが悩んでいるのはどうしてなのか、自分の教え方が悪いのかと思い悩んでいます。
教える側、教えられる側両者が悩んでいるのですが、両者の真意はたがいに伝わる事がありません。
今回は、プリセプティとプリセプターの苦悩を知り、お互いの気持ちが楽になる方法を探ってみましょう。
プリセプティの悩み
プリセプティ(教えられる側)は、とにかく、自分は何が分かっていて何が分かっていないかが分からないので質問が出来ない事に悩んでいます。
「あの子、何も聞いてこないけど大丈夫?」と陰口を聞くことがあります。
しかし、彼女たちは、何を質問すればよいかすらわからないのです。
始めて飛び込んだ世界に圧倒され、日々知らないことに触れることでちょっとしたパニックになっています。教えてもらった事を思い返し、思い出すことで精いっぱいで、他に脇目を振る余裕なんてない状況です。
また、そんな時先輩とケアや処置を行っている時、教えられた通りにやると「誰がそんな風に教えたの」と指摘を受ける時があります。マニュアルを読んでやっていても怒られることもしばしば。
精一杯やっていても、違うと怒られると、日々でパンクしそうな頭は、大噴火寸前です。
そして、「誰に教えられたか」なんて聞かれても、そんなこと言えるはずがありません。
覚えなさいと尻を叩かれて覚えても、それで注意される矛盾が生じると、また一から覚えなおさなければなりません。
要領の良い子であれば、その人と一緒にする時の対応と、別の怒った先輩と一緒にする時の対応をそれぞれ変えるという新人たちもいます。しかし、そんな要領よく出来ない子たちは、また、違うと別のスタッフに怒られる結果になるのです。
かわいそうではありませんか?
新人看護師は、ミスしないようにとマニュアルを真剣に見ています。
教える側も、自分なりの方法を確立しているかもしれませんが、教える前に今一度、マニュアルや方法の確認を行い、みんなが同じ方法を教えられるよう対応する必要があります。
プリセプターの悩み
プリセプターは、卒後3年から5年程度の自分で判断して看護が出来るようになったころの看護師が「お姉さん」「お兄さん」と言う立場で行うことがあります。
その彼女たちは、まだ人に教えると言う事に不慣れです。
新人時代の悩みや辛さを最近の事のように覚えている為、かなり慎重であり、新人看護師に対して心配をしています。
新人看護師と日々関わることで、時に新人看護師の精神的落ち込みを目の当たりにしたり、おろおろとした表情に触れることがあります。しかし、彼女らはその辛い気持を自分の中に留めます。そうして鬱状態になったり、表情が暗くなります。
そこで、プリセプターは自分の教え方に問題があるのか、何が辛いのか、何に悩んでいるのかと心を痛めます。自分から、新人看護師に悩みを聞けばよいのですが、そこまで余裕がないということもあり、プリセプター自信が思い悩む結果になる事があります。
また、新人看護師の技術や知識の習得状況が悪いと、上の評価や顔色を伺わないといけなくなったり、自分の指導者としての評価を気にして落ち込んでいる事もあります。
プリセプターとして、新人を支えないといけないと言う使命感と、育てないといけない重圧に押しつぶされそうになっています。
新人看護師は、もう少しプリセプターに心の内を打ち明けても良いでしょう。
病院では、プリセプティの一番の見方はプリセプターです。新人看護師が思いや苦しみを伝えることで、もっとお互いの絆を確認し、共倒れすることなく問題解決へと進むことが出来ます。
また、病棟のスタッフは、二人の置かれた状況を理解し、サポート役として大きなひろい心で見守ってください。そうして、そっと優しい言葉や助言で助けてあげてください。
まとめ
教育を受ける側、教育をする側の悩みについて理解できたでしょうか?
やはり、新人教育はプリセプターだけでは重荷が偏りすぎます。
新人が早く一人前になるにはスタッフ全員の支えていこうと言う体制が必要です。
教育には厳しい目が必要ですが、不慣れな二人の事ですので、慣れた先輩がしっかりと縁の下の力持ちとして、教える土台を作ってあげてください。