高齢者との関わりに困難感を感じることはありますか?
高齢者は、これまで生きてきた人生があり、残りの人生を自分らしく生きたいとの思いがあります。
しかし、認知力低下により自分の行う事が分からなくなったり、物事への固執やこだわり、嫌な事に対する拒否や拒絶もあります。
人間の最期は、赤ちゃんの姿に戻るとも言われ、認知力が低下したり、身体機能が低下したり、寝たきりや活動性が低下する事があります。
しかし、周囲の認識として、「なぜ出来ないのか」「今まで当然にしてきた事なのに」と出来なくなる事を受けとめられない事があります。
高齢者への対応、認知症が進行しつつある患者さんへの正しい理解で、双方がストレスなく関係を築ける方法を考えましょう。
忍耐力と理解力
高齢者や認知症ケアにおいて、大切なことは、「忍耐力」と「理解力」ではないでしょうか。
同じ事を何度も言う、同じことを何度も繰り返す、失敗や出来ない事が増える、注意しても改められないなど、認知症患者さんの特徴があります。
進行中の認知症患者さんは、これからどんどん出来ない事が増え、介護や看護介入が必要となります。このような重度化する介護や看護を要する患者さんへの対応は、忍耐力が必要です。
その人の行う行為や行動に理解を示し、「仕方が無いこと」と捉え、出来ない事を補うサポーターとして力を尽くす気持ちが必要です。また、その方を理解しようとする力が求められます。
通常では理解できない現状や行動が見受けられる認知症患者さんです。
しかし、その行動や行為の背景には、なにか理由がある場合があります。
おむつを触る患者さんは、排尿や排便を知らせたり、もう排泄してしまって気持ち悪い事を占める事があります。徘徊する患者さんは、不安や恐怖、時に幻聴や幻覚から辛さを現している事もあります。
このような異常と言われる行動に潜む理由を理解しようとする気持ちが大切です。
認知症患者さんと関わる上でのポイント
・見守る姿勢と共感する姿勢
その人の行う事が危険でなければ見守る事も必要です。
安全な環境調整、受容的姿勢が関係を良好に保つポイントです。
制止や中断を嫌う認知症患者さんには、阻止する姿勢が最も嫌われる対応です。
・セルフケアと管理力
認知症患者さんは、自分を管理したり、気遣う事ができません。
よって、日常生活や自分の身辺を他人により整えられる事が必要です。
生活の質を高め、健康的に生活するために、さり気なく、安楽に安全に管理調整する関わりが必要です。
・人権と尊厳を護る
プライドを傷つけない関わりが重要ポイントです。
「なんでできないの」「ダメね」など、その人を否定する言葉掛けなどはいけません。
さり気なく、出来ない事を補う温かい対応で、「出来ない」「出来ていない」事を本人が覚らない対応が大切です。
・興味関心や五感に働きかける
認知症を進行させない努力として、その人の好奇心や思いに刺激を与えることが大切です。興味や関心のある事を進めたり、何かに熱中する事で、昔を忘れない、何かをしたいと言う意欲に働きかけられます。
生きがいややりがいを感じられる事、喜びや心地よさを感じることは、認知症の進行を低下させたり、予防する事が出来ます。
よって、興味や関心、心に響くケアを行う事がポイントです。
まとめ
最近、高齢者虐待や高齢者への事件が多くニュースで見られます。
その多くは、認知症の正しい理解や対応がなされずに怒る事件です。
認知症は加齢により仕方が無い事です。
その高齢者がいたからこそ、今の日本があり、今の我々の生活があるといえます。
これまでを築いてくれた高齢者を正しく理解し、尊敬の念で関わる姿勢が看護師や看護者として必要なのでは無いでしょうか。