夏は、脱水・熱中症増加とともに増える疾患として、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害があります。
これは、高温な時期に入り、汗や不感蒸排により脱水状態になったり、熱中症により体温上昇や脱水となったりすることで、血管が詰まり、血栓が形成され脳梗塞を引き起こします。
また、夏になると血管が拡張し、血圧低下を引き起こし、上記の状態が併さる事で脳梗塞の原因となります。
この他にも、現在流行している健康志向から、適切な水分摂取をしない上でのジョギングやランニング、スポーツなどにより、脳梗塞、急激な運動による血圧上昇により脳血管が破たんし、脳出血やクモ膜下出血という脳血管障害に至ることがあります。
脳神経外科で看護師の役割
脳血管障害は、予期せぬ時にいきなり発症する事が特徴です。
前駆症状として頭痛や倦怠感、血圧変動などを引き起こすことがありますが、まさか自分が大病をするはずが無いという思いから見逃されることが多いです。
看護師として、患者さんの全身状態の観察やモニタリング、水分出納チェックや輸液管理を行います。
その中で、最も重要とされるのが、意識状態や神経症状に観察を行う事です。
全身状態や神経症状などは、時間を追って変化する事が多く、頻繁に観察する事で悪化や好転の予兆を観察する事が必要です。
観察項目
- 意識状態:急性期では、JCSによる意識状態の確認
- 神経症状:瞳孔の変化や変位
- 角膜や眉毛反射
- 関節の刺激による反射の有無など
- 血圧変動と血圧コントロール
脳梗塞は血圧が低すぎると再梗塞の危険性が高まります。
しかし、血圧が高くなると脳出血やクモ膜下出血、急性硬膜下血腫などの発症の危険性や再出血の危険性が高まります。
医師の指示により、指示の範囲内で血圧が経過するよう薬や安楽な体位やケアなどにより看護する事を求められます。
脳血管障害患者の看護
疾患により血圧コントロールの観点から身体を動かさない方が良い患者さん、麻痺や身体を動かせない状態の患者さんが多く、身辺援助が濃厚となります。身体の清潔(清拭)、排泄介助(おむつ交換、尿道カテ―テル管理)、食事や栄養管理(経管栄養や食事介助)、2時間毎の体位変換による褥創予防などが中心の支援となります。ベッド上安静でADLを全て看護師に委ねられることもあります。
患者さんには、動けないことによるストレスや不安があり、精神的フォローや、コミュニケーションによるストレス緩和、リラクゼーション法によるリラックスするための関わりが必要です。
最近では認知症を患う高齢者が多くなり、自己管理困難や、療養上の注意点を自分では守ることが出来ない患者さんが増えてきました。術後、安静を守れない、傷口を触ってしまうなどの療養上のトラブルが無いようリスク管理と危険回避の為の対策も必要です。
まとめ
脳神経外科における看護師の役割は理解できましたか?これからの時期、突発的な脳疾患により療養を余儀なくされる患者さんは増えてきます。
看護師として、精神的ケアや十分な観察による急変予測と対応を行い、患者さんを危機から救う必要があります。急な入院による混乱から現状へ引き戻す患者さんへの関わり、安楽ケアにより遣り甲斐ある仕事が脳神経外科看護師です。