人は、食べ物を口の中に含み、噛んで、呑みこんで、消化して栄養を摂取しています。しかし、口腔内の疾患、咀嚼機能の低下、嚥下機能の障害、消化管の異常などにより、口から栄養を取れない人もいます。
そのような人がどのように栄養を摂取しているかと言うと、経菅栄養が思い浮かぶでしょう。味覚の刺激が無く、美味しさや満足感の少ない経菅栄養を行う患者さんは、食事に対する強い希望とストレスを感じています。
経菅栄養を余儀なくされた患者さんへの正しい接し方、アプローチ方法を学びましょう。
経菅栄養とは
<経鼻栄養>
鼻腔より、胃や小腸に管を送りその管を通して高カロリーな栄養剤を注入します。
<胃ろう栄養>
経菅栄養の一種ですが、外科的療法により胃に直接穴をあけ、直接チューブをつなぎ栄養を注入します。
長期にわたる経菅栄養の予測や、もう口腔による摂食が期待できない場合にその管理方法の容易さからこの方法を取る場合があります。
経菅栄養の注意点
・管の入り口や内腔が殺菌やばい菌の温床にならないよう注意する。
管理方法は、その医療機関や施設により異なりますが、注入後に安全な殺菌方法として薄めたお酢を注入するというところもあります。
その管が、免疫や抵抗力の低下した患者さんの悪影響にならないよう清潔に努め、定期的な交換なども行う必要があります。
・高カロリー剤の種類の選択で、その人に合ったものにする。
内容によっては、患者さんの身体に合わず、便秘や下痢の原因になる事があります。
栄養状態のチェックにより消化吸収をアセスメントする、排泄状況をチェックし、排泄に異常が無いか、その状態を考慮した注入内容ン変更も必要です。
・注入速度と温度が肝心です。
注入速度が速すぎると下痢の原因となります。
上手く吸収されず、低栄養の原因ともなります。
冷たすぎると消化管を刺激し下痢や消化不良の原因となったり、熱すぎると胃腸の熱傷や炎症の下人となります。
よって、人肌程度に温めることが必要です。
・姿勢も大切です。
頭を挙上し、無理のない体勢を整える必要があります。
逆流し誤嚥の原因となったり、起こしすぎる事が患者さんの負担となる場合があります。その人の身体的状況、体力、身体の変形や特徴を理解し、注入中の安楽な姿勢保持を心掛けましょう。
まとめ
経菅栄養が適応となる患者さんの多くは、免疫力、体力が低下し脆弱している方が多いのが特徴です。時に、栄養を補給することが体力の消耗に繋がる事があります。
そのような弱い方に対して、負担の少ない栄養補給を自薦出来る個別性ある関わりを看護職者には求められます。
口から食事が取れないストレスにも対応できる優しさも、看護師の求められる支援です。