国民の2人に1人は何らかのがんにかかる、といわれている現代。
がんといえば「末期で手が付けられない」といった時代からはかなり現場は変化してきています。
がんは慢性疾患の一つ、からだに抱えたがんをどう克服し日常生活を維持していくのか、が問われる時代になりました。
普段すれ違っている人の中に、小さながんやがんの再発の心配を抱えながら社会生活を送っている方は、大勢います。
今や、命を落とす敵として死に物狂いで戦うのではなく、様々な治療法を駆使し、うまく乗り越えていく病気に変化してきているのです。
現代のがん化学療法
がんの治療には、手術・放射線・抗がん剤が用いられますが、この「抗がん剤=がん化学療法」も、一昔とは比べ物にならないほど進歩してきました。
がん化学療法と聞くと、ついついつらい副作用がイメージされてしまいますが、薬の種類も豊富、量も適量が研究され、副作用の出現を最小限に抑える研究もされています。
このため、入院ではなく外来での点滴や内服などでも、がん化学療法は行えるようになりました。
化学療法での副作用
患者さんの自由が増す一方で、生活への不安などが表れてくるのも事実です。
がん化学療法での副作用が代表的です。
これはその人によって出方や感じ方は様々ですが、先入観があったり疾患以外の苦しみを抱えている方は症状を重く感じることでしょう。
治療を続け、がんとともに生きていく患者さんを支える、これは看護師独自の役割だと思います。
これら支えるべき苦しみを専門的には「魂の痛み」といいます。
疾患そのもの以外の苦しみやつらさ、つまり、検査データーには表れない魂の痛みを感じケアできるのが、看護師の大切な役割なのではないでしょうか。
専門的視点とサポートが大切
がん化学療法で働く看護師の業務内容には大きく分けて二つあると考えます。
一つは、確実にがん化学療法を行えるよう、専門的視点を持ち安全に治療援助を行うこと、もう一つは、患者を全人的にとらえ支えるということです。
前者は業務内容的にもあきらかですし、業務内容自体をマニュアルにそって正確に行うことでたかめられる技術といえます。
後者では、看護師としての在り方など問われることもあります。
これには、正解がありません。
看護師としての経験も、人としての経験や考え方も、様々です。
ひとりでかかえず、同じスタッフ同士で共有しディスカッションすることが大事だとされています。
患者カンファレンスに代表されるような話し合いの場を、業務内容に盛り込み意見交換をし悩みを共有することが増えてきました。
患者さんを含めたチームで支える、チームメンバー同士もチームみんなで支えあう、医療の現場は変化してきています。