高齢者の食事摂取に関して、不安を感じたり、疑問を感じたり、もっとスムーズで安全な食事介助が出来ればよいと感じることが無いでしょうか。
疾患による麻痺や障害、歯や口腔内の変容による食事摂取の困難性の高まりなど、一人一人抱える悩みは異なります。
個別性ある食事援助により、安楽かつ安全に、また、食べたいという欲求を高められる支援について考えてみましょう。
軽度な嚥下障害、高齢者向けの食事介助方法をまとめてみます。
口腔内の確認を行います。
口の中が綺麗か、喉が綺麗かなどを確認します。
自分で口腔の清潔を保つことが出来ない患者さんでは、口腔内が極度に乾燥していたり、痰や唾液で汚染していたり、前の食事の残渣が残っていたりと言う事が考えられます。また、義歯がきちんと装着されているか、口腔内に口内炎や炎症がないかということも安全で安楽な食事摂取には重要事項です。
そして、食事をするという準備として、手の清潔の為に、手洗いや手指の消毒をするという習慣を励行することも大切です。
食事環境を整える
椅子に座る、ベッドのギャッジを上げる、麻痺や傾きがある場合は、枕や姿勢保持の為の用具を用いて、正しい姿勢に整えます。頸部前屈姿勢を維持する。
部屋の空気を良くし、気持ち良い環境をつくる。
出来れば、病室ではなく食堂などの、寝食を分けた部屋で食事をとるようにする。
嚥下体操を行う
深呼吸から始め、頸部の緊張を解く首の体操、口腔内と舌の体操や、唾液腺の刺激による唾液分泌促進運動、「パ・タ・カ・ラ」などの発声、発音訓練による嚥下筋刺激などを行います。
食事の際の注意点
- 良く噛む 味わい、ゆっくり落ち着いて食べることが大切です。
- 食事時間 毎日大体同じ時刻に食べるようにします。一回の食事は、30分~45分以内とします。食事による疲れで誤嚥や窒息を予防します。
- 食後の歯磨きの励行 口腔内、喉の生活保持に努め、誤嚥予防、口腔内雑菌繁殖を予防します。
- 口腔の乾燥予防のためにも、頻繁な水分摂取を勧める
- 嚥下食やとろみ材の使用を検討 再々誤嚥やむせ込みを経験している患者さんには、適切な食形態への変更を考慮します。NSTの関与などにより、適切な食事を提供する検討を実施します。
まとめ
安全に安楽な食事を行うためには、一人一人の嚥下・摂食機能について情報収集し、食事に対する思いを聴取し、その上でアセスメントしてその人にあった食事を提供する必要があります。
認知症などにより意思表示できない、その為に摂食が進まないと言う事もあります。個別性を踏まえたうえでの食事へのアプローチが必要です。