脳梗塞や事故の後遺症等により歩行状態が悪くなった患者さんの歩行介助について難しさを感じたり、危険意識が低く転倒させてしまったことがある看護師もいるでしょう。
これまで自由に歩けていた患者さんが、突如歩行機能に不安定さや困難さを生じた場合、その麻痺や機能障害についての受けとめや認識、ショックからの立ち直りなど、身体機能以外にも精神面による影響から歩行状態が危険となることがあります。
自分は出来ると一人で歩行しようとしたり、出来ないはずが無いと無理にリハビリを行おうとする場合もあります。
看護職者として、安全に、安楽に歩行が出来るよう歩行介助と歩行訓練を行いたいものです。少しの工夫で変わる歩行介助について学んでみましょう。
だた歩けばよいのではない
下肢に運動麻痺がある場合、歩行練習により機能回復を図ります。看護師は、リハビリの知識が十分ではなく、ただこけない様に歩くことを介助します。
しかし、ただ歩けばよいというのではないようです。
乳幼児期、歩けるようになるまでに個人差がありますが、「立てる」「歩ける」とスムーズに進むことは無いでしょう。「立てる」から「バランスをとってぐらつく」「一歩踏み出す」「こける」を繰り返しながら、「歩行出来る」と進んで言ったことを思い出します。
麻痺後の歩行機能回復も、なかなかうまくいかない状態が続きます。
「歩く」という高い課題を示しては、患者さんのモチベーションを低下させてしまいかねません。「出来ない」「無理」「もう良いよ、車いすで」と言わせる結果となります。
そうならないように、看護師は課題を低く設定し、低いステップを何度も何度も飛び越えて「歩行できる」に持っていく関わりが必要です。
- 杖を持って立つ
- バランスをとる
- 何も持たずに数秒立つ
- 何も持たずに数分立つ
- 歩行器で歩く
- 杖に使い方を習得する
- 杖で歩く
- 一人で歩く
この過程に中に、もう少し細かく課題設定しても良いでしょう。
一つ一つクリアしていくことで、患者さんの自信を呼び起こす歩行練習が出来ます。
まとめ
歩行練習や歩行の機能回復訓練を行うには、患者さんのやる気や熱意が無ければ上手くいきません。看護師は、その気持ちへのアプローチを行い、患者さんがもう一度歩きたいという気持ちを呼び起こす関わりを行います。
また、機能訓練はリハビリ専門職が主となり行いますが、そのやる気に関しての心のケアは看護師にしかできない関わりとも言え、その関わりでリハビリ、機能回復への進行度が変わってきます。