看護・医療の対象者の多くは、高齢者という場合が多くなってきました。
少子高齢化により、平均寿命は延び、種々の疾患を抱えて生活している高齢者が増えています。また、寿命の延長から、認知症を患う高齢者が増加しています。
認知症は、脳の機能が低下する病気であり、これまで出来ていたことや、日常的な行為が出来なくなる、性格が攻撃的になったり、徘徊や暴言、暴力など制止が効かない行為を繰り返してしまう事があります。
時に、入院中の認知症高齢者は、その症状により医療スタッフの悩ませることがあります。しかし、その患者さんには悪気や強い認識が無い為、叱ったり、指導をすることは意味をなさず、どう対応すればよいか困ってしまい、ストレスの原因となることがあります。
認知力の低下のみ、身体の元気なお年寄り
認知症の原因は、加齢による脳萎縮、脳梗塞や脳疾患の後遺症による認知症、入院などの環境の変化が起因するものなど様々です。
50代後半、60代と若い発症、90代でも発症せず元気な高齢者もいます。
身体機能が元気で自分で動ける認知症高齢者は、時に病院を脱出しようとしたり、安静を守れず危険を冒すことがあります。
夜間、認知症状が出現したり、活動性が高まる、不眠が強くなるようなことがあると、スタッフの少ない状況もあり、看護師の精神的負担は大きくなります。
看護師が疲れ果てて、怒ったりするようなことがあれば、恐怖や危害を加える存在と認識され、その精神状況は悪化の一途を辿ってしまう事もあります。
認知症患者への対応
まず目指すべきことは、自分にとって「有害な人間」という認識にならないことです。丁寧に、優しく、その方に付き添う気持ちで関わり、その方の行為や言動に対して原因や理由を分かろうとする姿勢が求められます。
こちらの止めなさいの言葉や、制止、理屈を理解はしてもらえません。
本能で活動していると考えられ、その思いにとことん付き合う気持ちが必要です。
離院、放尿、おむつはずし、徘徊、食事拒否、入浴拒否、暴行や暴言には、必ず理由があります。時には、幻聴や幻覚により症状を発していたり、看護師の無理強いする行為や言動に心を痛めての行動もあります。
このことを理解し、思いやりを持って接する事が必要です。
看護師としての認識
認知症という認識を十分に理解し、「仕方ない行為」と温かい目で対応するようにしましょう。そして、自分は看護師、プロのケア提供者として自分を律しましょう。
そして、事故や危険が起こらないよう、他のスタッフと情報共有し、その精神面や行動を周囲に知らせ、もし危険がありそうであれば受け持ちの自分以外のスタッフが気に掛けられるよう注意喚起する事でストレスを一人で抱え込まないようにします。
また、認知症患者の一番の心のよりどころは家や家族という事があります。
時に家族に協力を依頼することも念頭に置き、関係者みんなでその認知症高齢者を看護していくさまが必要です。
最後に
認知症患者の看護にお困りの看護師は、認知症看護のセミナーに参加してみることも一つです。そして、自分の精神的ストレスが強い看護師は、メンタルヘルスセミナーに参加してみるのも良いでしょう。
認知症患者を看ることは、大変です。
ずっと付き合う事は、自分の精神を消耗してしまいます。
しかし、その患者さんも困らせようと思ったり、悪気がありません。時に思いが繋がる時は、申し訳ないと感じながらもその行為を継続して知っている現状もあります。
その方の辛い気持や分かってほしい気持を理解しようとする看護のプロを目指しましょう。