患者さんとの距離感は、難しいものです。
近づきすぎると馴れ馴れしくなり、距離を置きすぎると、会話がままならず必要な情報すら惹き出せない状況になります。
看護に必要なことは、コミュニケーションです。コミュニケーション、対話により、患者さんとの距離を縮める事が出来ます。距離と言っても、立ち位置の問題ではりません。心の距離です。
心の距離と言えば、信頼関係の有無ではないでしょうか。信頼関係が無ければ、なかなか患者さんの本音を聞き出せません。患者さんに、たくさん話して貰い、たくさんの情報を引き出し、それを看護やケアに活かすことが出来れば、患者さんの安全、安楽は高まります。
では、どのようにしたら、患者さんとの心の距離を埋めることが出来るのでしょうか?
話しかけるということ
なかなか話題が無ければ話しかけにくいのが本音ですね。しかし、初対面やあまり関わりが無い場合、こちらからのアクションを待っています。患者さん自身が、看護師であるこちらに気を遣っているということです。
自分の心身を病めている患者さんに、気を遣わせることはあってはならないことです。自分の心身に着目したい患者さんに、こちらに気を遣わせてしまっては、心配事を増やす原因となっているということになります。いわゆる、患者さんにとっての「害」です。
看護師が、患者さんの「害」になってはいけません。
話しかけてください。何でもいいです。
今日の天気のこと、今日の具合のこと、季節柄のイベントや節句などのこと、何でも構いません。その方の気になる情報や、興味のある内容が分かっていれば、その内容について話すことが出来ればベストです。
しかし、初対面やあまり関わりが無ければ情報は少ないものです。患者さんに話しかけることを怖がらず、その方を理解したい気持ちがあれば、知りたい気持ちがあれば、何かしらの言葉が出るはずです。
言葉をかければかけるほど、患者さんは、自分に興味を持ってくれていると感じ、心を開いて貰えます。
会話は、言葉だけではありません
患者さんの反応を見ることが出来ていますか?
視線、表情、声のトーン、仕草、四肢の動きや反応など、患者さんは、言葉以外にもたくさんのヒントを出してくれています。
これを無視すると、「この人は分かってくれていない」と思い、距離を埋めることができません。
患者さんは、時に遠慮して思いと裏腹な反応をします。痛くても「大丈夫」と言ったり、して欲しいことに対して「今は良いです」などと遠慮や拒否をすることがあります。そんな場合、表情や、声のトーン等々の反応に現れているはずです。反応を感じてください。
それが分かって、「遠慮しないでください、大丈夫です。時間は十分ありますので」などと対応できれば、信頼関係の礎を築くことが出来ます。
顔を見れていますか
患者さんに声をかけるだけではありません。
ちゃんと、顔を見て声を掛けられていますか?
言葉は発していても、顔を見ず、目線の先は別なところにあったら、どうでしょう。感じが悪いです。そんな人に自分は分かっれ貰えないと感じてしまいます。心の距離は、縮まるどころかどんどん遠くへ離れてしまいます。
是非、顔を見て話してください。
反応出来ていますか
患者さんの思いや訴え、表情や反応から察知した情報に対して反応出来ていますか?
お話に対して、言葉で反応するだけではなく、相槌をうつ、大きくうなずきながら言葉を発する、共感に姿勢を出す、背中をさする、タッチするなど、反応の方法は様々です。
何か反応をすれば、やはり、分かってもらえたと&出来るはずです。この人は、「話しても大丈夫、分かってくれる人」となります。反応を読み取っても、返答が出来ない人には、「この人に言っても無駄」と言う存在になります。
分かってもらえる人になることができれば、自ずと心を開いてくれるはずです。
最後に
距離は無理に縮めるものではありません。日々の積み重ねにより自然と縮まっていくものです。無理に縮めようとすれば、「この人、何を焦っているんだろう。ぐいぐい来るな、しんどいな」と思わせてしまいかねません。
話したい人、話せる人になるには、その人を分かろうとする心のゆとりと態度ではないでしょうか?患者さんとの距離を縮める方法は、その方の性格や特徴を理解し、会話、反応を見て、その反応に対して誠実に対応することを積み重ねていくことです。