脳血管障害や生活習慣病による種々の疾患により四肢に麻痺を来たしたり、運動器系の障害による機能麻痺、事故の後遺症による麻痺など四肢の機能障害を来たす理由は、患者さんにより様々です。
しかし、これまで動いていた身体が動かない事、動きにくくなった事による患者さんの衝撃やショックは大きく、看護者は、配慮ある関わりを求められます。
また、その失いかけた機能を少しでも回復出来る関わりを求められます。
心のケア
障害を受けた患者さんの気持ち
- ショック:自分の体が動きにくくなっていることに対し衝撃を受けます。
- 回復への期待:きっと回復するであろうと信じ期待します。
- 悲嘆:しかし、一向に元通りにならない麻痺に対し悲しみ、途方にくれます。
- 防衛:回復しない機能に対して、自分自身を守りに入ります。時に、状況から逃げようとします。
- 適応:麻痺を受け入れ、より生活し易くなるためにはどうすればよいかを考え始めます。
このような心理過程を経て、障害を受容することとなりますが、このショックの時期でも、悲嘆の時期でも辛さを抱えながら治療の為に患者さんはリハビリを行います。受身の形で、医師やリハビリ担当者が迎えに来るから仕方なく行います。
しかし、本来なら前向きに積極的に行わなければ最大限の効果を得られないのがリハビリテーションです。
看護職者として、患者の気持ちに寄り添い出来るだけ早く障害を受容し、自ら機能回復の為の訓練がしたいと思えるよう心のケアが求められます。
辛さを傾聴し、どんどん心の奥の闇を吐き出して貰います。スッキリしたら、患者は前を向けます。これは仕方ないと受けとめられます。
患者の気持ちに寄り添い、受容へと関われるのは看護師独自の機能です。
麻痺のある患者さんの看護のポイント
- 看護師は、患者の残存機能を最大限に活用できるよう支援し、過度な関わりによる回復妨害をしないことが必須です。
- これ以上の機能低下を来たさないように、必要以上に休息や臥床を進めず活動するよう促すことが必要です。また、動かないことによる廃用症候群をおこさないために、積極的に活動を促します。
- 基本的な動作を失調したことによる精神面の支援、ショックからの立ち直りを促す関わりを行います。
- 社会的資源の活用により、社会復帰できる調整役ともなります。
- セルフケア不足や、セルフケア困難の状態を、如何にして解消し、在宅復帰できるか、麻痺を有してのセルフケアが出来る方法を考え、方法を伝授します。
まとめ
麻痺を有する患者さんの精神的ケアを十分に行い、リハビリテーションによる機能回復を促すケアと、日常生活を何とか送ることが出来る工夫や方法を患者と共に考えていくことが看護師に役割でもあります。
手助けしたい気持ちが湧きあがる看護師の優しさは、時に回復の邪魔となることを知り、過度な支援や関わりにならないことも看護師に必要とされる、麻痺のある患者さんとの関わり方と言えます。