看護師の関わる対象患者さんの中に、認知症を併発する患者さんが多くなっています。
看護師として複数担当しながら業務を行う場合、その認知症患者さんの行動や言動、精神状態により、その仕事を円滑に行う事ができなかったり、その方を意識しながら別の業務を並行して行わなければいけない事があります。
その人の認知レベルにもよりますが、重度の場合、その行動の余地が出来ず、転倒、転落、離院、他の患者さんとのトラブル、治療やケアが出来ないという状態に陥ることがあります。
認知症看護は、まず患者さんにとって悪にならない、良き存在と言う印象を強められる関わりが必要です。
どのような姿勢で関われば、認知症患者さんに好かれる事が出来るのかをまとめてみます。
認知症患者さんに好かれるには
・興味関心を知る
認知症患者さんは、これまで生きてきた人生があります。
その中で、自分が自信を持って伝えられることは長期記憶として残っている事があります。
また、これまで積みかさめてきた経験や実体験の多くを覚えている事があります。
その話題から快形成を構築できる事もあります。
その人の興味関心を知り、その情報を基にコミュニケーションをはかれるきっかけを探りましょう。
例えば、農家で野菜作りをしていた患者さんに、野菜の育て方などをおHし得て貰う、子供を保育していた患者さんに子育て方法を聞いてみる等、時に、その質問や話題が、その人の「熱意」「やる気」「生きがいに」アプローチを掛けられる事があります。
「あんた、そんな事も知らないの」と自信を持って離してくれる、教えてくれる事もあり、こんな一面もあるのかと驚き、発見出来る事もあります。
しかし、時にその経験がその人にとってとても苦痛で、悲痛だった経験である事もあります。
その場合、その話題が患者さんにとっての不快となる事もある為話題提供には注意が必要です。
その人に「快」を提供し、「不快」を与えない
認知症患者さんは、「快」と「不快」で物事を判断する事があります。
また、「快」は忘れてしまう事がありますが、「不快」であったことは印象強く覚えている事があります。
よって、不快を与えない関わりがとても重要です。
注射や検査など、どうしても行わなければいけない「不快」なケアに関しては、その処置を行った後の精神的フォローや、安心できる環境づくりを行う必要があります。
あまり命にかかわらない清潔ケア等は、その錯乱状態で無理にしなくてよいと判断された場合は、先送りする柔軟な対応も必要でしょう。
患者さんに心地よく、安心、安全な関わりを行える事が良い関係を築くためには大切です。
例えば、落ち着かない患者さんにフットケアやハンドケアをする、その時代を生きた音楽を流す、童謡を歌う、ヒーリングミュージックを流す、季節の花を飾る、美味しい食べ物を食事に出すなど気持ちいい五感を刺激する関わりはどうでしょう。
視覚、触角、聴覚、臭覚、味覚に働きかける関わりを考えることも有効です。
まとめ
認知症患者さんに好かれる為には、患者さんの発するサインを察知し、「快」の方向へ気持ちを向けられる支援を行える事が大切です。
決して、「今はこれをする時間」「~をしなければいけない」と無理強いする事が無いよう関わり方に注意が必要です。
認知症患者さんの心地よいと感じた時の表情を見てみてください。
その顔をいつまでも見ることが出来るように看護職者として温かな、思いやりある対応が必要です。